小ネタ 2009-022

Amazon Kindle2を使ってみる

 Amazon Kindle2(北米版)を入手した。色々使ってみたり試したことを書くことにする。(2009-10-10)

 今週2009年10月7日に、Amazon Kindle2のInternational版が日本からも購入できるようになったそうだ。自分はその1週間前に北米版Kindle2をネットオークションで落札し、今日10月10日に手元に届いた。北米版Kindle2は日本の3G携帯データ通信で使うことができないのだが、International版は使うことができるそうだ。日本から購入できるようになると分かっていたら北米版を入手せずにInternational版を購入したのになあ。タイミングが悪くて、泣ける。
 

 
 Kindle2を使ってみたところ - [ MPEG1形式の動画 (2.86MB) ]

 ・液晶でなくE-Inkという表示デバイスを使っている。
 ・電源を切った状態でも、E-Inkが画面表示を維持している。電源を切るとKindle内蔵の肖像画表示になる。
 ・ページの切り替え時に画面全体が一瞬だけ黒色表示になる。E-Inkの書き換え時の性質がこういうものらしい。
 ・傾けても液晶の視野角のような問題がなく、まるで白い板の表面に印刷してあるように見える。



Kindle2で何ができるか?

 ・Kindle2の機能としては、ネットに接続して使う機能と、オフラインで使う機能とがある。
 ・ネットに接続して使う機能は、3G携帯データ通信でネットに接続してAmazonの電子ブックを購入したり、新聞や雑誌を購読したり、Webサイトの閲覧ができる。通信料金はAmazon持ちなのでユーザーは通信料金を負担しなくて済む。電子ブックの購入代金に通信料金も含まれているようだ。
 ・オフラインで使う場合、Kindle2をUSBでPCに接続してPC側からテキストファイルや電子ブックのファイルを転送しておいて、Kindle2で読むことができる。電池が長持ちするというメリットもある。
 ・Kindle2で表示可能な対応ファイル形式は、以下の通り。
  (1) プレーンテキスト (.TXT)
  (2) Amazonの電子ブック (.AZW)
  (3) Mobipocket形式の電子ブック (.MOBI または.PRC)

 ・Kindle2をhackすることで、PDFファイルの閲覧、日本語フォントのインストール、スクリーンセーバーの変更、Linuxの起動なども可能。ただし無保証なので注意。


 (後日加筆 2009-11-29)
 AmazonでKindleのアップデート version 2.3の提供が11/25に開始された。
 このアップデートで、Kindle2でもPDFファイルの閲覧が可能になったそうだ。
 北米版Kindle2だと3Gネットワーク経由でアップデートすることができないので、Amazonからアップデートファイルをダウンロードして、USBでKindle2に入れてアップデートすることができた。

 新機能のPDFファイル(.PDF)の閲覧を試してみた。
 電子部品のデータシートのPDFを使いたかったので、まず東芝の2SC1815のPDFを試してみたが問題なく表示された。
 日立のH8/3664マイコンのPDFを試してみたが、日本語のフォントの部分が空白で表示され、正しく表示されなかった。
 漫画書店TのフリーペーパーのPDFも試してみたところ、エラーで開くことができなかった。
 自分で画像ファイルを元に作ったPDFなら大丈夫かといくつか試してみたのだが、画像が崩れて表示される場合があった。

 Kindle2のversion2.3のPDF表示機能は、少し難があると思う。今後さらにアップデートされることを期待したい。


 (後日加筆 2009-12-12)
 Kindleは、画像ファイルをZIP形式で圧縮したZIPファイルの中身を閲覧する機能もあるそうだ。公式にアナウンスされていない機能である。
 JPEGファイルをZIPで圧縮したものと、PNGファイルをZIPで圧縮したものをKindle2(version 2.3)のdocumentsフォルダに入れて試してみた。
 メニューリストに表示されて、開く操作ができるのだが、表示したりしなかったりする。表示するときもあるのだが、不安定なのかもしれない。




データ通信なしでKindle2を使う方法1 - テキストファイル

 英文のプレーンテキストのファイルをKindle2に転送すれば、普通に表示させることができる。
 
 転送方法は簡単で、Kindle2を付属のUSBケーブルに接続すると汎用のUSBストレージとして認識されるので、その中のdocumentsというフォルダに入れるだけでよい。
 Kindle2には本のテキストを音読する機能があり、プレーンテキストのファイルでもちゃんと中身を読み上げてくれる。

 日本語のテキストファイルはそのままでは使うことができない。
 (Font hackについて後で試してみる予定)

 (後日加筆 2009-11-29)
 Font hackで日本語フォントをインストールすることが出来るそうだ。非公式なhackなので自己責任で試す類のものである。
 yoshi's blogの記事を見て、実際にKindle2(FW2.3)に入れてみた。
 プレーンテキストファイルを用意して、文字コードをUnicodeに変換して、Font hackしたKindle2で表示させてみた。
 
 テキストファイルの先頭はちゃんと表示された。
 しかし、少しページ送り操作をしていたら突然フリーズのように処理が重くなってしまったり、文字化け表示になってしまったりする

 日本語のテキストファイルは、Font hackをしたとしても現状ではあまり使えない。今後Kindleのファームウェアがアップデートされることを期待したい。



データ通信なしでKindle2を使う方法2 - AZWファイル

 米国Amazon.comのKindleショップで、Kindle用の電子ブックを購入することができる。以前は日本からは購入できなかったようだが現在は購入可能になった。
 購入した本は通常は3G携帯データ通信でKindle2に転送するのだが、PCに一旦ダウンロードしてUSBケーブルで接続してKindle2に転送することもできる。
 無料の本もあるので試してみようとしたのだが、無料の本は米国向けにしか提供しておらず、日本からは無料購入しようとすると決済時に購入不可という表示が出て購入できなかった。
 とりあえず、試しに有料の電子ブックを試してみるため、安価な漫画本を1冊購入してみた。
 

 また、Amazonに登録したKindleのメールアドレスにPDFファイルを添付してメールで送ると、Amazon側でAZW形式に変換してくれる。
 これには有料と無料の2つのサービスがあり、メールアドレスが異なっている。
 ***@kindle.comというメールアドレスを使うと有料でAZW形式に変換されて、Kindleに自動送信されるらしい。
 ***@free.kindle.comというメールアドレスを使うと無料でAZW形式に変換され、Amazon Kindleのサイトで自分でダウンロードしてKindleに手動転送する。
 後者は、無料サービスなのだが、1クリック用の決済手段を登録しておかないと使えないらしいので注意。
 PDFファイルの変換サービスの性能だが、完全に変換してくれるわけではなく、実際に試しに送ったPDFファイルの図とかが変換されずにテキストのみが変換された。

 あと、当然だが、iPhoneのKindleアプリでもAmazonの電子ブックを閲覧することができる。
 
 今のところiTunesの日本アカウントではKindleアプリが入手できないので注意。

 AZW形式を取り扱うことのできるフリーソフトにはStanzaとかCalibreというものがあるらしい。あとで調べてみる予定。

 どうやらAZW形式というのは後述のMobipocket形式と中身が一緒らしい。コピーフリーのAZWファイルについてはそうらしいのだが、著作権保護のDRMが掛けられたAZWファイルは違っているかもしれない。


 (後日加筆 2009-12-23)
 AmazonがAZW形式のファイルを作るための変換ソフトの配布を開始したそうだ。KindleGenというソフトがダウンロードできる。
 HTML, XHTML, XML (OPF/IDPF format), ePubをAZW形式に変換することができるらしい。
 日本語に対応していないようなので、特にこれを使ってみることはなさそうだ。




データ通信なしでKindle2を使う方法3 - Mobipocket形式

 Kindleがサポートしている電子ブックフォーマットにはMobipocket形式というのがある。
 主にMobipocket.comというサイトでこの形式の電子ブックが販売されている。

 あと、Project Gutenbergというサイトで著作権の切れたパブリックドメインの本データを扱っている。(日本でも青空文庫というのがある)
 ここでプレーンテキストのファイルやMobipocket形式のファイルが無料配布されている。


 Mobipocket形式の電子ブックのファイルは、自分で作ることができる。
 Mobipocket Creatorというソフト(無料)を使えばよい。

 
 Mobipocket Creatorというソフトの起動画面

 Mobipocket Creatorというソフトは多機能で、色々な方法で電子ブックファイルを作成することができる。
 画像ファイルからアルバム形式の電子ブックを作ったり、HTML文書やWord書類やプレーンテキストやPDFファイルから電子ブックに変換したりできる。
 しかし、あまり思った通りに変換されないことが多い。
 連番の画像ファイルからの変換では、連番に画像ファイルを登録するのが面倒だったり、変換した電子ブックに1ページ毎に空のページが入ってしまったりする。あと、画像が画面全体のサイズにならなかったりする。
 PDFの変換では、絵と文字が混在する場合、絵がまったく無視されて文字だけの電子ブックができたり、その逆で文字が無視されて絵だけの電子ブックができてしまったりする。

 自分が試してみて安定した使い方は、以下の通りである。
 (1)連番の画像ファイル(pict001.jpg〜pict999.jpgなど)を用意する。このとき、1ページ目にダミーの表紙を入れる。
 (2)画像梱包というフリーソフトでPDFに変換する。
 (3)Mobipocket Creatorで Import From Existing File機能の Adobe PDFの読み込みで、PDFファイルを読み込んで、変換する。

 連番の画像ファイルは、
 ・あらかじめ自分の持っている本をスキャナでスキャンした画像ファイル
 ・いずれかのフリーソフトでPDFファイルを連番画像ファイルに変換したもの
 ・青Pなどのソフトで青空文庫のテキストファイルを変換したもの
 などを使う。
 (青空文庫の変換について、もう少し詳しく書く)



青空文庫の変換について

 青空文庫を一旦画像データに変換してからMobipocket形式に変換して、表示させてみた。(2009-11-05)
 

 少し冗長になるが、変換の手順を詳しく以下に書いておく。


 (1)青空文庫のWebサイトで、作品をダウンロードする。
  青空文庫のWebサイトにアクセスする。
 

 読みたい作品のページを探す。例として我が輩は猫であるをダウンロードしてみる。
 

 ファイルのダウンロードの項目でテキストファイルをダウンロードする。789_ruby_5639.zipというファイルが得られる。ZIPファイルの中身のtxtファイルを取り出しておく。
 

 (2)テキストファイルを編集
 ダウンロードしたtxtファイル内には先頭に【テキスト中に現れる記号について】という説明文が付いている。余分なので削除する。
 


 (3)青Pというソフトで画像に変換する
 『青空文庫形式のテキストファイルをPNG画像で出力するツール、略して「青P」』というソフトを使う。
 
 出力形式を詳細に設定するため、ユーザー定義を選択して、ユーザー定義詳細というボタンをクリックする。

 
 自分の場合、上記の設定で変換した。文字の大きさとか好みで変更すればよい。

 変換ボタンで変換される。少し時間が掛かる。結果、wagahaiwa_nekodearu001.png〜wagahaiwa_nekodearu793.pngという連番の画像ファイルが得られる。
 

 (4)wagahaiwa_nekodearu000.pngというファイルを作る
 wagahaiwa_nekodearu001.pngを複製してwagahaiwa_nekodearu000.pngという名前で保存する。

 (5)画像梱包というソフトでPDFに変換する
 画像梱包というソフトを使って画像データをPDFファイルに変換する。
 
 設定は、解像度のチェックボックスにチェックを入れて、すぐ下に表示される解像度のdpi数の入力欄に400と入力する。400dpiで出力されるようになる。

 設定したら、連番の画像ファイルの入ったフォルダをドラッグして、画像梱包のウィンドウ内にドロップする。
 変換したあと保存するPDFファイル名を聞いてくるので、neko.pdfと入力。
 あとは自動で変換され、PDFファイルが出力される。

 (6)Mobipocket Creatorで変換する
 Mobipocket Creator Publisher Editionを使って、Import From Existing File機能の Adobe PDFの読み込みで、PDFファイルを読み込んで、変換する。
 

 入力するPDFファイルを指定して、Importボタンで読み込む。全部読み込むのに結構時間が掛かる。
 

 読み込みが終わると次のような画面表示が出る。ここでBuildのメニューボタンを押す。
 

 Build Publicationの画面になるので、ここでBuildボタンを押す。あとは自動でMobipocket形式に変換される。
 

 あとは、作成したmobipocket形式のファイルをKindleに転送して、読むことができる。
 


 (後日加筆 2009-11-29)
 変換にはChainLPというフリーソフトを使うと簡単だという意見を頂いた。青空文庫にも対応して、PDF出力もできるそうだ。
 Kindle2がPDFに対応したので、mobipocket形式でなく、PDF形式に統一して変換しておくのには便利そうだと思った。
 あとで試してみる予定。



データ通信なしでKindle2を使う方法4 - PDFファイル

 2009-11-25のKindleのアップデート version 2.3という公式アップデートで、Kindle2でもPDFファイルの閲覧が可能になった。
 PCにKindle2を接続して、documentsフォルダにPDFファイルを入れると、それだけでKindle2で閲覧することができる。
 ただし、日本語のフォントが入っているわけではないので、日本語のPDFは、フォントが埋め込まれているPDFファイルのみ正しく表示される。

 幾つかのPDFファイルを試してみたが、既存のPDFファイルを使って表示させる用途に使うにはまだ少し難があると思う。今後さらにアップデートされることを期待したい。

 Kindle2.3のPDF表示機能の制限の範囲内で新たにPDFファイルを作るのであれば、問題なく使うことができるはずである。
 上記の青空文庫を変換する方法で、PDF向けに設定を調節して、mobipocket形式でなくPDF形式で出力しておけばよい。
 Scansnapを使って紙媒体からPDF化する場合の設定なども検討したい。


 (後日加筆 2009-12-09)
 青空文庫のテキストファイルをKindle用に最適化したPDFに変換してくれるWebサービスの青空キンドル(仮)[Beta]のテスト版が立ち上がっている。
 使い方は簡単で、zipファイルのURLを渡せば、あとはサーバー側でテキストファイルをTeXでレイアウトしてIPAフォントを埋め込んでPDF化してくれる。
 

 青空キンドルで、「我輩は猫である」をPDF化して表示させてみた。
 
 非常に美しく、ほぼカンペキな表示が得られている。




データ通信なしでKindle2を使う方法5 - ZIPファイル

 Kindleは、画像ファイルをZIP形式で圧縮したZIPファイルの中身を閲覧する機能もあるそうだ。公式にアナウンスされていない機能である。
 JPEGファイルをZIPで圧縮したものと、PNGファイルをZIPで圧縮したものをKindle2(version 2.3)のdocumentsフォルダに入れて試してみた。
 メニューリストに表示されて、開く操作ができるのだが、表示したりしなかったりする。表示するときもあるのだが、不安定なのかもしれない。


 (後日加筆 2010-01-30)
 画像のサイズが小さい場合(320x240)に、表示がうまくいかないようで、画像のサイズが大きい場合(480x640)にはちゃんと表示することができた。
 実際に480×640のJPEGファイルとPNGファイルのZIPファイル (JPEGファイルをZIPで圧縮したものと、PNGファイルをZIPで圧縮したもの )で試したら大丈夫だった。

 サイズがいくつ以上なら大丈夫なのか、あとで調べてみたい。




データ通信なしでKindle2を使う方法6 - CBZファイル

 ZIPファイルの拡張子をCBZにリネームしても開くことができるそうだ。試してみたところ、挙動はZIPとCBZとで一緒のようだ。




データ通信なしでKindle2を使う方法7 - JPEGファイル、PNGファイルをpicturesフォルダに入れる

 ZIP形式で圧縮しなくても、そのままフォルダに入れて表示することができる。
 Kindle内にpicturesというフォルダを作成し、
 その中に、
  /pictures/foo/page1.jpg
  /pictures/foo/page2.jpg
  /pictures/foo/page3.jpg
 というJPEGファイルを含んだfoo(例)というフォルダを作成する。

 そのままではKindleのメニューに表示されなくて、Kindleのキーボード操作でALT+Zと入力すると、メニューにfooが表示される。