小ネタ 2004-017

NintendoDSの初期不良が修理できなかった (後日、二個壱で修理できた)

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12月21日 NintendoDSが故障

 NintendoDSが壊れた。初期不良だと思われる。

 マリオ64DSで遊んでいたら下側の液晶画面が全体に白く不定期に点滅しだした。本体に力を入れると変化する状態である。なんか断線っぽい症状だと思った。 そのまま1時間ほど遊び続けたら悪化して正常に映らないほうが多くなってしまった。
 原因は、簡単な断線だろうと思えたので自分で直せるのでないかと思ったのと、海外から11月に入手した物なので修理に出すのに金と手間と時間がかかりそうでやっかいだと思ったので、思い切って故障のDS本体を分解して中の症状を見てみることにした。自己責任は覚悟の上である。

 液晶の接続のフレキシブルケーブルをチェックしてみた。片方を一度コネクタから抜いてみて起動したら下画面が映らなくなったので、下画面のフレキがどれか確認できた。やけに銅箔パターンが細いフレキである。そのフレキを確認してみたが、驚いたことに180度折れ曲がってケースと基板の間に挟まった状態になっていたのである。細かすぎて確認できないがたぶんそこで断線していると思われる。

 さて、ネット上でLiksangとかインプレスでDSを分解した記事がでているのを見ると、このフレキは基板の穴を通して"逃がし"スペースにちゃんと入っている。ところが自分の購入した個体はフレキが"逃がし"に入っておらず、ケースと基板に挟まっていた。丁度この部分は十字ボタン付近で、裏側は電池の真下のケースの隙間がほとんど無く基板がケースに押しつけられる部分なので、十字ボタンを押して遊んでいるうちにフレキの折り返し部分に力が掛かって断線に至ったと思う。"逃がし"にフレキが逃げずにケースに挟まって出荷された固体が最初の1ヶ月で故障したわけなので、これはメーカーの組み立て不良なのだと思った。フレキに基板シリアル番号シールの赤インクが付着していたが、これは組み付け不良チェック用なのかもしれない。(シールでなくてシルク。)

 修理しようと分解したのだが、結局、フレキが細かすぎて断念した。PS2のフレキの断線は直したことはあるのだがちょっと次元が違う感じであきらめた。 とりあえずそのままで組み直したら、上側の液晶画面に下画面のゴーストのようなものが出るようになってしまった。下側の液晶画面も1ラインずつ飛んで白くなっている。ちなみに、問題の下側の液晶のフレキをコネクタに接続しないと上側の液晶の表示は正常に映るが、そのかわり下側の液晶は完全に表示をしなくなる。

 もう1台NintendoDSを買うことにした。液晶がおかしい壊れたDSは研究用に使うことにする。 泣き寝入りするようでちと悔しいが、DSを解析してなにかの工作とか記事をしあげて原稿料で取り返すことにしようと思った。 PSPでなくDSの初期不良に当たるとは運が悪いというか、引きが強いというか。



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1ヶ月ほどNintendoDSを触ってみた感想や解析など

NintendoDSは、日本より先に北米で先行して11月22日に発売された。海外からの輸入ルートでこれを入手した。

DS本体を最初に触ってみた感想:
 意外にゴツくてデカい。米国人にウケそうなゴツさだと思う。(マイクロソフトのX-Boxもゴツいけど米国では売れてるし、初代ファミコンも米国向けはデザインをゴツい感じにしていた)
 電源を入れたときに最初に健康と安全のためにという画面が出る。ゲーム機の起動時にこんな画面を表示するなんて初めてのことだろう。日本では普通考えられないと思う。訴訟大国アメリカではそういう訴訟ざたが多いのでそれを避けるためだろう。そのうち米国ではゲームセンターでコインを投入すると最初に警告が表示されるようになるかもしれない。

北米版と日本版の違い:
 北米版は、本体の裏側の表示が英語。
 北米版は、言語設定がデフォルトで英語になっている。日本語に変更できるので、結果として日本版と同じに使用できる。英語モードでも起動時のメニューで日本版ソフトのタイトルは日本語で表示される。ひらがな&カタカナのフォントを持っているようだ。言語設定は日本語を含めて6か国語に対応だが、日本以外は全部欧米である。メイドインチャイナな機械だがアジア向けではないらしい。
 北米版には、MetroidPrimeHunterの体験版が同梱されている。
 特に体験版ゲームは、北米では同時発売のソフトが少なく、その中でもタッチパネルを活用したソフトが少ないというのをカバーするためにオマケとして未完成ながら北米向けキラーソフトの1つであるMetroidPrimeの体験版を付けたのだと思う。

MetroidPrimeHunter体験版FirstHuntの感想:
 3Dのメトロイドである。FPSである。GameCubeで既に3DのMetroidPrimeが出ているようだが触ったことがないので不明。FPSとして良くできている。下画面のタッチパネルをタッチパッド式のマウス代わりに使うようになっており、マウスを使うのに近い操作感が得られている。FPSを十字ボタンで遊ぶよりも断然こちらのほうがよい。FPSが流行っている米国では特に当たりだと思う。

Feel the Magic XY/XXの感想:
 北米での同時発売ソフトの1つ。日本では「きみのためなら死ねる」という題で同時発売予定のソフトである。DS本体の言語設定を日本語にしておくと初回起動時に自動認識で日本語版のゲームとして動作した。ゲームのオプションで手動で日本語/英語の切り替えもできる。タッチパネルを活用するゲームである。単純だが面白く結構ハマった。難易度Hellと星10個まで完全にコンプリートしてしまった。コンセプト的には日本で同時発売予定の「さわるメイドインワリオ」とかぶるのだが、北米ではさわるメイドインワリオが同時発売でないので、Segaが急いで作って間に合わせたのだろう。ゲームの雰囲気もアメリカで通用する感じに作ってあるように見える。

さわるメイドインワリオの感想:
 持っていないのだが、店頭デモを触ってみた。まわるメイドインワリオが斬新すぎたのか、きみしねを先にやり込んだせいなのか、あまり新鮮さを感じなかった。さわるメイドインワリオのミニゲームの中には日本人にしか分からなさそうなものがあったので(書道とか)、そういうのを米国向けに移植するのには時間がかかると思われる。そのためか北米では発売はまだ先になっている。任天堂の日本本社の開発者はあまり北米向けに力を入れてないのか?
 ちなみに、GBA版まわるメイドインワリオをNintendoDSで遊ぶ時には、GBA画面表示を下側画面にした方がプレイしやすいように感じた。画面の中心から回転センサ(ジャイロ)までの距離差が少ない方がよいようだ(GBA-SPではこの点で操作性がかなり悪く感じる)。振動機能はDSが重いためかほとんど振動を感じられない。DS本体に振動機能がないので今後オプションで振動カートリッジを出す場合には、かなり高出力になってしまうだろう。

マリオ64DSの感想:
 国内版を入手した。Nintendo64版マリオ64の移植作品。使用できるキャラクターが増えていたり、ステージが増えていたりするらしいが、64版をやっていないので詳しくは不明。星を150個中の138個集めるところまでやってみた。十字ボタンでプレイしているのだが、操作性が良くない。十字ボタンでは微妙な方向と速度入力ができない。DSの十字ボタンはそもそも斜めに入れにくい。終盤のステージは操作ミスが即、転落死なのでキツい。N64のコントローラーのアナログスティックあってのソフトだったのだと思う。ペン操作もあるにはあるのだが、なじめなかった。ゲーム自体はかなり面白いのだが、操作でだいぶ減点である。オプションカートリッジでアナログスティックを出すべきたと思う。

直感ヒトフデ:
 パズルゲームである。値段は安いが面白い。地味なゲームではある。テトリスだとかの二番煎じのようにも見えるが、ペン操作が斬新である。発売前から匿名掲示板でPCで動作するクローンが配布されたりしていた。このパズルのルールは単純だから作りやすかったのだろう。自分も発売前からクローンで遊んでみて購入を決めた。チェックメイトモードにまずハマる。チャレンジモードは次々とブロックが落ちてきてじっくり考える時間がないので遊び方がだいぶ変わる。こちらは苦手で、まだあまり進んでいない。ペン操作が斬新で面白いのだが、たまにブロックをなぞっていて処理が引っかかるような挙動をすることがある。折れ曲がり点だけ飛び飛びにタッチするという操作をすると問題がないが、なぞる操作のほうが好きなので何とかして欲しい。
 DSのパズルゲームは良作ぞろいで豊作のようだ。メテオスなどにも期待している。

大合奏バンドブラザーズ:
 音ゲー。ビートマニアだとかに似ているそういう分野のゲームである。1つの曲には最大8つまでの楽器パートがあってそれぞれをプレイできるというのが斬新である。また、最大8人までの複数人プレイで合奏できるというのがさらに斬新である。NintendoDSの音源機能がGBAに比べて格段に良くなったのを活用しているゲームである。タッチパネルとか2画面とかは関係ない従来の機軸のソフトであるが、出来がよいソフトなのでOK。まだアマモードをクリアしてないのだが、クリアしてプロになると曲の打ち込みができるようになるのである。実際ネット上でアウトランの曲とか東方永夜抄の曲だとかを演奏したwmv/mp3ファイルが公開されているのを聞いてみたが、素晴らしい。

Sprung:
 海外版の同時発売ソフトの1つ。NintendoDSの最初の恋愛シミュレーションゲーム。Coolな台詞を選択して彼女をオトすという内容らしいが、英語の言葉の壁のせいでほとんど遊んでいない。というか起動さえしてない(起動していないのには他にも理由があるのだが)。評価もあまりよくないらしい。こんなソフトをDSと同時発売するとは。北米ではDSは比較的大人向けなのかもしれない。
 余談。「はじめてのおるすばんアドバンス」だとかの帽子屋インサイドのGBA同人ソフトをいくつか買っているのだが、この分野では日本の勝ちだと思う。勝ってもあまりうれしくないか。

Ridge Racer DS:
 海外に注文したのだが、品切れで入手できなかった。海外版のみ発売されていたN64版リッジレーサーの移植版らしい。
 マリオ64DSもそうなのだが、Nintendo64からの移植が楽なのだろうか? N64がMIPS社R4000カスタムの64ビットCPU相当なのに対して、NintendoDSはARM9なのでずいぶんと違うように思える。スーパーファミコンとゲームボーイアドバンスのようにCPUは全然違うのにグラフィックチップの仕様がほぼ一緒で機能強化した上位互換ということなのだろうか。GBA機能をGameCubeに追加するGameboyPlayerという周辺機器があるが、これと同様なコンセプトでN64機能をGameCubeに追加する周辺機器が噂されているらしい。

無線機能について:
 無線LANから、インターネットに接続して対戦やデータ配信、データ交換などに期待したい。
 ピクトチャットやMetroidPrimeHunter体験版は、普通の無線LAN規格で通信しているようなので、NetStrumblerなどのソフトでPCからパケットが見えるらしい。PCで捕捉したパケットをインターネットで遠隔地のPCに流して通信するトンネルソフトが実験的にうまく動いているそうだ。
 ただし、無線マルチブートだとかの機能は普通の無線LAN規格ではない任天堂独自規格で通信しているようなので、これは解析されるまでまだ時間がかかるだろう。

FLASH2Advance:
 フラッシュROMカートリッジである。USB-Linkerのようなケーブルでの書き込みは、NintendoDSの通信ポートがないので不可。自分はカートリッジを旧来の書き換え機で書き込んでいる。そうやって使うぶんにはいちおう問題なく動作するようだ。他にもいくつか同様のカートリッジが出ているようだが持っていないので試していない。シングルROMではまず問題は発生しない。マルチROMにしてshellを入れたりとか、特殊なパッチ機能を使ったりとかそういう細かいところでは不具合があるのかもしれない。
 PocketNesとか一部のソフトの動作がGBAよりも動作が速くなったような感じである。あまり気にしていなかったが、調べてみたい。
 あと調べてみたいのは、GBAソフトからDSのリソースに対してアクセスできるのか否かということである。メモリマップだとかのリーク情報がネットで出回っている。GBAに比べて広大なRAM空間を持っているが、そこにはアクセスできるのだろうか? I/O空間もGBAの上位互換のように見えるので、ひょっとすると拡張された機能に対してロックが掛かっていないと使用できる可能性があるかもしれない?
 まれにフラッシュカートリッジがオプションカートリッジとしてNintendoDSに認識されるという現象が起こるようだ。将来、周辺機器をGBAスロットを使って拡張するということはほぼ確実だと思われる。

XPort2.0:
 米国産のGBA用の周辺機器で、GBAでロボット制御などができるキットである。CircuitCellarという雑誌の記事で知った。フラッシュROM + I/Oポート用FPGA(書き換えてその他の機能も拡張できる)という組み合わせの妖しいブツである。NintendoDSで動作した。フラッシュROMの書き換えは、カートリッジに付いているコネクタを直接PCに接続するので、通信ポートのないDSでもソフトの書き換えが容易に可能である。また、I/Oポートで外部と信号のやりとりできるので、DSの解析をするときには便利かもしれない。

ファミバンス:
 GBAでファミコンのROMカートリッジを遊ぶ周辺機器。GBAでTVという商品が出ていたが、TVの代わりにファミコン画面を出力するようになっただけのようだ。だから画質や反応速度がかなり悪い。そのままではケースが干渉してDSに取り付けられない。強引に押し込む猛者もいるようだが、DSの故障が怖いのでファミバンスを分解してコネクタ部分を引っ張り出してDSに取り付けてみた。残念ながら動作しなかった。ゲームボーイプレイヤーでは動作したのだが。
 任天堂非ライセンス商品なので、Nintendoロゴプロテクト対策のため、GBAカートリッジをファミバンスのスロットに入れて、GBA-BIOSによるソフト起動時のNintendoロゴチェック時には、このスロットにバイパスするようになっているらしい。どうもDSでは微妙にタイミングとかズレてうまくバイパスしないのかもしれない。
 ところが、マルチブート機能とホットスワップによってDSで動作させることができたらしい。いちいちカートリッジを通電中にスワップするのは実用的ではないが、動かすことができたというのには驚いた。自分ではまだ試していない。DSでGBAマルチブート機能が活きていたのも驚きである。

NintendoDSを修理のため分解してみた感想:
 液晶のフレキのパターンが細いので分解時には取り扱いに注意が必要である。
 無線LAN用に子基板の形でSDカードくらいの大きさのユニットが載っている。一般部品っぽいので、早晩解析されてしまうのではないかと思われる。
 改造の余地があるかは不明である。定番としては、映像信号の取り出し(2画面もどうするのか)とかクロックアップ改造(GBAの時には2倍速改造できた。反射神経養成用に重宝している)とか音質改善のために電解コンデンサをOSコンに取り替えるなどというネタがあると思う。
 あと、一番気になったのは、廃止された通信ポートが実は実装されていないだけで、配線をすれば使えるようになるのではないかということである。基板上のシルク印刷をざっと眺めたなかにはそれらしいものはなかった。当たり前か。しかし今後の調査次第では期待できるかもしれない。
 改造でGBソフトが動くというようなネタが海外で出ていたが、GBエミュレータを使ったフェイクだったようだ。NintendoDSはさすがにもう電源5VのGB互換の回路部分を捨てているようなので、電源3.3VのGBAとの互換しかないはずである。
 違法改造になるかもしれないが、無線の電波を飛ぶようにするためにアンテナ改造というネタが出るかもしれない。CFカードタイプの無線LANカードの感度が悪いのを補うために、乾電池をすぐ横に立てて置くというおまじないような方法や、銅線をCFカードにL字型にくくり付けるというようなチープな改造が昔流行っていた。あるいは外付けのアンテナを工夫してピクトチャット等の遠距離通信の限界に挑戦してみるとか。

NintendoDSのゲームカートリッジを分解してみた感想:
 初期不良のNintendoDSを分解して修理不能な時点でなにか自分の中でふっきれたので、カートリッジも分解してみた。
 蓋が接着なので、分解は力加減をしないと破壊してしまう。
 中身は、ソフトの記録用のMacronix社のマスクROM部品と、セーブデータ用のST-Microelectronics社のシリアルEEPROM部品で構成されている。他に部品が入る余地がないので、GBAの様に多機能な拡張はできないだろう。機能拡張はGBAスロットのオプションカートリッジという形になると思われる。
 マスクROM部品の品番号は、GBA用のものと1番違いだが中身はかなり異なるようだ。GBA用のものは16ビットバス動作だが、DS用のものは8ビットバス動作である。また、暗号化機能も使われているそうだ。これだと、従来の汎用フラッシュROM+CPLDでメモリブロックコントローラのエミュレーションという組み合わせでは通用しないようだ。
 セーブデータ用のEEPROMについては、汎用規格品だから簡単だったので自分で解析した。セーブデータの吸い出し&書き換え機を製作できた。あらためて詳しくまとめて書く。

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いろいろ書いた中にはひょっとすると間違いもあるかもしれない。未熟者なので生暖かい目で寛大に見て欲しい。



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後日談 (2005.5.30加筆)

先日、NintendoDSのジャンク品をネットオークションで入手した。部品取りに使うためである。入手した品物の状態は凄いことになっている。開いた状態で踏んづけたのだろうか?ヒンジ部分が折れて完全に2つに分離している。上画面の液晶が明らかに割れているのが分かる状態である。残った下半分も電源が入らない。
入手したジャンクのDSを分解して、去年断線して故障した下側の液晶のフレキ部分を修理するための部品取りをしてみる。フレキ部分だけを取り出すのは困難なので、下画面の液晶とフレキを一緒にジャンクDSから取り出して、去年故障したDSに移植してみた。無事に動作することが確認できた。
めでたく故障したDSを修理することができた。ラッキーである。



(後日加筆)

さらに別の上画面の割れたジャンクのDSをもう1台入手して調べてみたのだが、この個体もフレキ部分が挟まっていた。不良品の2台目に遭遇したのだが、これは自分が強運なせいだろうか任天堂の不良品が多いのだろうか?